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KAI BAND BEATNIK TOUR 2001 - DO YOU BEAT?

BEATNIK TOUR
いきなりだが「BEATNIK:ビートニク」である。
新たな伝説が生まれるのか?そんな予感する[BEATNIK]の文字が並んだこのツアー。
往年のメンバーがついに復活し、そして今の彼らのテイストで生み出されたアルバム「夏の轍」のツアーでもある。
正直言って1986年で解散、1996年に武道館での甲斐自身の活動21thを記念して開催したSingerというライヴで同窓会的に松藤、一郎を従えてワンナイト・甲斐バンドをやったコトはあった。
1999年も新高輪プリンスホテル・飛天で行われたライブは完全に甲斐バンドが復活それから2年を経てオリジナルアルバムの発表という事になったワケだ。
従来の甲斐バンドのようなライヴバンドとしての活動は望めそうもないが、この4人が集まった時に得られるマジック、パワーはいつも変わらない輝きを放つ。

我々はいつもソレを待ち望んでいるのではないだろうか・・・BEATNIK。


たった今、自宅に戻ってきたところだ。
ニッポン放送で、原千晶と軽口を交わし、力強いアンプラグド・ナンバーを2曲プレイしてきた。
そして深夜の2時。
正直に告白しよう。
今度の甲斐バンドの15年ぶりのニュー・アルバム、本当に完成するとは思わなかったと       
途中で路頭に迷ったのだ。
迷路にハマリ込みすべてが無意味に思えてきたころ、重要で肝心なことに気が付いた。
オレたちがずっとこだわり続けてきたもののほとんどは、
もう時間の中で風化してしまっているのだということに。
残されたのはオレたちの関係だけ。だが、それこそが最大の武器になるのではないかと思いはじめた。
自信を失くしてしまっているこの国で、まわりを見渡すと失くしてしまったものを嘆いている顔ばかり。
すりへってはいるが手の中のわずかなもので始める時なのに。
システムとか組織とかの不確かな方ではなく、仲間とか家族の絆の中で、
しっかりしたキーワードを説明することが出来れば、あとは“あうんの呼吸”でいける。
だから、一流のスタジオ・ミュージシャンとプレイする“上手さ”の方ではなく、その対極にある、
時間はかかってもツボにはまれば手に入れられる“高い温度”と“味”の方を選ぼうと決意したのだ。

ここにひとつのメモがある。
15年ぶりの甲斐バンドのアルバム「夏の轍」の帯用のコピー。
「ロックの名のもとに集まりし、ビートフリークの男達…」
そしてもうひとつのメール。
“STARS - 文句なし。眩暈の Summer Breeze - 入れるべき曲、
甲斐バンドの15年を表現できるのはこの曲です”
イーストウエストのトップである吉田“ハリー”晴彦氏が書いてくれたものだ。
      という事で突然に幕が開く。
2年前の25周年イベントのライヴの最後の30分は確かに甲斐バンドだったが、
それが直接の引き金になったとは思わない。
わかりやすいからマスコミ用にはそうコメントしたが。
それよりも、確実にまわりの強い空気が後押しをしたのだと断言したい。
つまりマネージメントである S.M.A の麻生氏、ディスクガレージの中西氏、ニッポン放送の吉田孝雄氏、
先述した吉田ハリーそれと石原氏、そしてマネージャーのコザキに感謝したい。
そういう人達の熱気と毒にアオラレたのだ。
レコーディング前のプリ・プロダクションで、薄皮を一枚一枚剥がすように、メンバーの心の核に迫っていき、
全体を見渡す目とどのポジションでプレイすれば有効なのかという事を明確にしていった。
アレンジの坂井君とオレとで、もう一度プリ・プロをやり、そしてレコーディングに突入していったのだ。

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+あるイベンターから頼まれてツアー用に書いたコメントを最後に紹介する。
ツアーに向けてのザラついた平静さと冷ややかな興奮がうかがえると思う。


復讐からは何も生まれない。何も。
特に報復行為は絶対禁止となっているのがお受験とサッカーだ。
我が家の8才児は小学受験の時に、試験会場から整列して帰ってくる途中、後ろの奴からイキナリ突き飛ばされ、
カッとなって振り向きざま先生の目の前で、ワン・ツーを見舞い見事に落ちた。
サッカーに至っては前回のワールド・カップでマンチェスターUのベッカムが倒されて怒り、
相手を踏ん付けてレッドカード、一発退場となりイギリスは敗れ、彼は自国マスコミにサンザンたたかれた。
今回の甲斐バンド再始動も、いわば一種の報復行為だ。
じゃあ、やり残した事があったのかというとそれはNOだ。
むしろ他のアーチストより必要以上にやる事はやったではないか。
問題なのは現在のミュージック・シーンで、
タフでフィジカルで、悪の匂いがして、文学的で、独特という
ロック本来のテイストが薄くなってきている事だ。
独自のロックの香りとスタイルをもっていること。
N.Y.最高のエンジニア達とタッグを組んだ80年代。
解散するその日まで甲斐バンドにはそれがあったと思う。
質と量を躍起になって上げていきながら、ゆっくりとした長いスパンで質の転換を図ってもよかったのだ。
欲張りすぎか。
状況にカツを入れつつ、何を残すのか。それが今回のテーマでなる。
いくつかの70年、80年代のバンドが同窓会的ノリでツアーのみで復活する中、
6月6日にリリースされる15年振りのオリジナルアルバムをひっさげてのツアーとなる。
復讐から何も生まれない。
しかし報復ほど甘美なものはない。


甲斐よしひろ

MEMBERS


KAI BAND  is

Yoshihiro Kai

Hideo Matsufuji

Ichiro Tanaka

Nobukazu Ohmori

MUSICIANS

Guitars:Eiji Sato

Bass:Norio Sakai

Keybords:Tomotsune Maeno

Percussion:JAH-RAH