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MUSIC FROM THE ELDER

MUSIC FROM THE ELDER
  1. fanfare (1'22")[Ezrin/Stanley]
  2. JUST A BOY (2'30")[Stanley/Ezrin]
  3. ODYSSEY (5'36")[Powers]
  4. ONLY YOU (4'19")[Simmons]
  5. UNDER THE ROSE (4'49")[Carr/Simmons]
  6. DARK LIGHT (4'12")[Frehley/Fig/Reed/Simmons]
  7. THE OATH (4'32")[Stanley/Ezrin/Powers]
  8. A WORLD WITHOUT HEROS (2'40")[Stanley/Ezrin/Reed/Simmons]
  9. MR. BLACK WELL (4'53")[Simmons/Reed]
  10. ESCAPE FROM ISLAND* (2'52")[Frehley/Ezrin/Carr]
  11. I (3'52")[Simmons/Ezrin]


* : Casablanca/PolyStar 28S-23[日本盤1981]には未収録


KISS  Paul Stanley/Gene Simmons/Ace Frehley/Eric Carr
Musicians : American Symphony Orchestra,Robert Christie(Voice).Anthony Parr(Voice),Tony Powers(Piano/keyboards)
Produced by BOB EZRIN
Recorded at at Ace In The Hole Studio, CT/A & R Studios, NYC, NY/Record Plant Studios, NYC,NY/Ezrin Farm Studio & Sounds Interchange, Toronto,Canada
Casablanca NBLP-7261
Released: 1981/11/10    RIAA : n/a

Kob's Recommended:★★★★☆

[Notes]
Reunionの頃、今でも付き合いのある多くのKISSARMYさん達と出会ったが、そこで結構聞かれたハナシが「ELDERは駄作」ということ。
自分はKISSというカテゴリで考えると「ちょっと違うかな」とか「ステージの状況が想像出来ない」というアルバムではあるものの、何故かリリース当時から結構好きだったアルバムである。
そして、CDを集めようかと思い買ってみると何だか違和感が・・・そう、CD化されたものは曲順が本国での曲順番になっているのだ。
本作は余りにも「KISSらしからぬモノ」というイメージはレーベルサイドにリリース前にあって、リリースする際にせっかくコンセプトアルバム然としているものを分解して、並べ直したものをリリースしていたのだ。
日本では先行発売という事からかオリジナル曲順(この時点で"ESCAPE FROM ISLAND"は未収録)のレコードで、ジャケットはKISSのメンバーが写るLPサイズの帯(!)で覆われてリリースされた。
さすがの日本でもイメージ先行の感のあるKISSのニューアルバムが映画のサントラのようなジャケットで、当初はKISSロゴすらも配さないデザイン案だったジャケットを店頭に並べて売れるとは思っていなかったようだった。
そうした戦略もむなしく多分・・・世界的に売れ行きの悪いアルバムになってしまったと思う。

当時はこのアルバムありきで映画の製作が行われるものと信じてその時を待っていた。とは言うものの70年代でコケたであろう"MEETS THE PHANTOM"に倣うならば、ヘタなモノ作るなら、作るな・・・とは思っていた。
多分作っても二の舞になると思ってたので、製作に至らなかったのは不幸中の幸いとでも言おうか・・・そういうものだった。
ドラマーにEric Carrを迎えての新作は彼の実力からインスパイアされて出来た部分も宣伝文句どおりにあったのだろうと思う、しかしそれはKISSらしからぬアルバムのせいで影を潜めてしまった感じも否めない。
何しろファンが耳を傾けないのでは日の目をあてられないではないか・・・そういう不遇のアルバムでもあるのだ。

では、本当に駄作なのか?・・・そんなコトはない。私はお勧めする。
ただしKISSらしさをココに求めるとがっかりするのかもしれない、PaulとGeneそしてAceのソングライティング、ヴォーカルは新たな息吹を呼び起こしている、そういう気になる。
今までのKISSらしさって何だ?前作はまるでPOPミュージックではないか・・・それならば、このあるコンセプトに沿って出来上がった仮想サントラは、ストーリーをその曲から読み出して頭の中で展開し、その背景に流れる音として想像して聞いてみて欲しい。
決して曲や歌いっぷりは悪いわけもない、いやパワフルで叙情性の高い楽曲が並んでいると気がつくだろう。
荘厳な男性コーラスはちょっとオーバーかもしれない、でも中世の雰囲気にヒーローとなる少年が勧善懲悪な振る舞いで巨悪と戦う、そんなシーンにはぴったりではないか。
このアルバムを面白い、かっこいいと思うにはいささか聞く側の想像力の世界に依存されてしまうのは残念だが、そういう聞き方も一度はチャレンジしてもらいたいものだ。
ちなみにUS.Remasterではオリジナル曲順に戻され、それまでも収録されていた"ESCAPE FROM ISLAND"も加えたリストで楽しめるものになっている。ぜひ聞いて欲しい!

[More infomation]

魔界大決戦
  1. ファンファーレ
  2. 少年
  3. オデッセイ
  4. 勇者の誕生
  5. 薔薇の紋章の下
  6. 魔界の閃光
  7. 英雄なき世界
  8. 炎の誓い
  9. 罪深きブラックウェル
  10. 激烈!!大脱走
  11. エルダーの戦士
Promotion Video

A WORLD WITHOUT HEROES
I

US/European Version
  1. THE OATH
  2. fanfare
  3. JUST A BOY
  4. DARK LIGHT
  5. ONLY YOU
  6. UNDER THE ROSE
  7. A WORLD WITHOUT HEROES
  8. MR. BLACKWELL
  9. ESCAPE FROM THE ISLAND
  10. ODYSSEY
  11. I
アメリカ、ヨーロッパにおいてリリースされた際の曲順はオリジナルと異なっていた。 (日本でアナログ盤がリリースされた時はオリジナル曲順(fanfareから始まる)となっていた)
これはレコード会社の意に反してよほどKISSらしからぬと判断された結果と言えよう。
BOB EZRINにしてはPink Floydの"The Wall"の大ヒットの後でコンセプトアルバムに絶対の自信を持っていたのかもしれないが、KISSのそれはKISS低迷期突入の序章に過ぎない出来と判断されても仕方がなかったようだ。
また、リリース当時日本盤には未収録だった"ESCAPE FROM THE ISLAND"が収録されてもいた。
その後、日本では"KISS KILLERS"に収録され、CD化された折に本アルバムに収録されたが曲順はUS盤と同様になってしまう。 (日本盤でも初期盤はオリジナル曲順のものが存在したりと、いわくつきのアルバムになっているようだ)

ERIC CARR
Eric Carr デビュー時代からの問題児PETERが正式にバンドを去って後任ドラマーの座についたのがERIC CARR(Paul Charles Caravello)だ。
ドラマー募集は前作"UNMASKED"発表後すぐに開始され、100名にもなろうかという応募の中から彼が選ばれることになる。
プレイもヴォーカル、そして礼儀もPETERを上回るものを持つERICはすぐにバンドに溶け込む事になる。
しかしながら今でもファンに愛され語り草になっているERICでさえ、KISS内ではGENEとPAULのみがKISSであり、この愛されるべきドラマーでさえある意味サポートメンバーでしかなかったというのが、寂しい現実だと言える。
そしてKISSがアルバム"REVENGE"を録音中の1991年11月24日に41歳の若さで他界した。
ERIC CARR Web_Site[Official]



ジャケットあれこれ
Inner Jacket 映画のワンシーンを思い起こさせるインナージャケ写真
そもそもGeneがハリウッドに出入りするようになった頃から、コミックにありがちな勧善懲悪なストーリーアイディアがあったようで、BOB EZRINが気に入りWHOで言う所の"Tommy"にしようというコンセプトに進んでいく。
そういう意味でのストーリーボードの役目を果たしているインナージャケットの写真である。
映画がないうちに"Music from〜"と恰もサウンドトラックのような形式を持った不思議なアルバムは出来あがったが、アルバム随所に挿入されたSEやナレーションとこのようなイメージ写真で聞く者にとっては仮想映画のシーンを思い起こす良い材料にはなったのではないか?。
少なくてもリリース当時のワタシはそういうイメージを膨らませるに充分魅力のある一コマの写真ではあった。
日本盤 そうは言っても古めかしい木製のドアに伸びた手だけのイメージではKISSというアピールにはならないと考えられ、日本盤にはジャケットをすっぽり隠してしまう偽似ジャケット(実際は帯が拡大したものだ)が付けられた。
しかし、そこに映っているKISSも既に変わってしまっていた・・・そうメンバーはPeterからEric Carrに、何よりもPaulはハチマキをしGeneはチョンマゲをしていない・・・。
あえて言うならAceだけがKISSらしさを継承しているかのようなイメージだった。
その思いはアルバムを聞いて余計に大きく感じられることになったのだ。

このジャケットをすっぽり隠してしてしまう手法は後に"LICK IT UP"でも利用された。
その時こそKISSの素顔を晒したアルバムであり、隠してしまう効果はかなりのものではあった。
いずれにしても日本独自の文化とでも言うべき「帯」をうまく利用した巧妙な手法ではないだろうか。
セールスに結びつけようとレコード会社の必死の思いも見え隠れします。

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