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LICK IT UP

LICK IT UP
  1. EXCITER (4'10")[Stanley/Vincent]
  2. NOT FOR THE INNOCENT (4'32")[Simmons/Vincent]
  3. LICK IT UP (3'59")[Stanley/Vincent]
  4. YOUNG AND WASTED (4'04")[Simmons/Vincent]
  5. GIMME MORE (3'41")[Stanley/Vincent]
  6. ALL HELL'S BREAKIN' LOSE (4'34")[Carr/Stanley/Vincent/Simmons]
  7. A MILLION ONE (4'17")[Stanley/Vincent]
  8. FIT'S LIKE A GLOVE (4'04")[Simmons]
  9. DANCE ALL OVER YOUR FACE (4'13")[Simmons]
  10. AND ON THE 8 DAY (4'02")[Simmons/Vincent]

KISS  Paul Stanley/Gene Simmons/Vinnie Vincent/Eric Carr
Produced by MICHAEL JAMES JACKSON , GENE SIMMONS and PAUL STANLEY
Recorded at Right Track Studios, NYC, NY
Mercury/PolyGram 814-297-1/2/4
Released: 1983/9/18    RIAA:1983/12/22  1990/12/19
Kob's Recommended:★★☆

[Notes]
あの日の衝撃と落胆は今でもハッキリ覚えている。
そう偶然にも輸入盤コーナーで見かけた見慣れたハズのあのロゴデザイン。
そしてそこに並んだ4人の男達・・・一抹の不安を覚えつつも目をパチクリ見直して見ると、ベロ出しした中央の男・・・マチガイない。
KISSが素顔を晒したのだ。
一折見て落ち着いた後、結局日本盤を手に取り購入・・・ライナーノーツから最低限の情報が得られるだろうという考えからだ。
そしてレコードに針を落として・・・。
正直言って「変わってしまった」という感じがして頭に残らなかった・・・のっけからKISSには無かったギターのアーミング。
ヴォーカルこそPaulそのものであるものの、何と表現したら良いのだろうか、ハードになってのを喜ぶ部分もあり素顔になってしまったバンドの行く末を考えると残すは解散しかないのか・・・と。
MTVでは"LICK IT UP"や"ALL HELL'S BREAKIN' LOSE"が結構な頻度で流れ始めていた。
深夜の女子大生が司会を勤める番組のレポートでも取り上げられ、そのかつての威厳がすっかり感じられなくなってしまった彼らに失望をしてしまった・・・それがこのアルバムの印象だった。
このテの音楽を聴くのはKISSというブランドでなくてもいいとさえ思った。他のバンドの方が先行していたワケだし、もうKISSはメイク時代の過去から脱却をしようとすればするほど何の特色もないように思え、それが辛かった。
前述の深夜番組で見た"ALL HELL'S BREAKIN' LOSE"の撮影レポートに出てきたメンバーは軽いノリで日本にまだまだ大勢のKISSファンが居るような錯覚をしているかに見えた。
「現実はそんなじゃないんだよ」と寂しさを余計に増長させていたインタビューに思えてしまった。
そんな状況だったのでこのビデオクリップは一番嫌いなクリップになってしまった、曲に合わせてラップ調に叫ぶPaulも何とはなしに嫌だったし。 そんなコトもあってこのアルバムは買った当初は聞いた覚えがあるが、そのあとすぐに封印されたかのように棚に収められて再び針を落とすことのないアルバムになっていった。
そしてKISSと一時の決別のきっかけとなったアルバムでもあるのだ。

FAREWELLツアーではノーメイク期の歌として"LICK IT UP"が披露されていたが、演奏的不安が残るAceに対して無難な選曲だったのかもしれない。
近年ではFAREWELLツアーの余韻もあってCDをUS.Remasterで買い直して時折聞くことになるが、やはり通して聞くことの少ないアルバムの一つである。
そんな中でも自分なりにお勧めな曲が・・・これはなんと言っても "A MILLION ONE"になると思う。



[More infomation]

地獄の回想
  1. エクサイター
  2. 暴虐の炎
  3. 地獄の回想
  4. 青い暴走
  5. ギミー・モア
  6. 地獄の饗宴
  7. 至上の愛
  8. 悪魔の情欲
  9. ダンス・オール・オーヴァー
  10. 8日目の新世界
Promotion Video

LICK IT UP
ALL HELL'S BREAKIN' LOSE

素顔でお目見え・・・・
この顔が・・・
交通事故などもあり、アルバム製作から遠のき事実上脱退状態だったACEがついに1983年8月正式に脱退発表される。 バンドも寄せる年波には勝てずついにメイクを取る決心をする。
9月18日MTVのスペシャルプログラムに4人揃って素顔で出演し素顔で活動することを発表する。
メイクを落とすことに関して言えばKISSが時代を作る時期は去った事を悟り、時代(MTV)に自分達を合わせることで生き残りを図ることになった。
GENEが自ら演じていたデーモン、モンスターという仮面を剥がすことには少なからず抵抗があったようだ・・・PAULは素顔になったらなったで生き生きとメディアに向かうし、素顔になった状況下でまた新しい姿を見せようと積極的に動いていった。
そういう面もあり80年代はPAULがフロントに立つことが多くなっていった、GENEはライヴというステージではなくスクリーンの方に足を向けてしまうのも仕方の無い事だったかもしれない。

しかし、ヴィニーはメイク顔はなんとも不思議で謎っぽい・・・そしてKISSのメイクの中では異質なものだったせいもあって素顔になってもどうにも浮いてしまう。
事実この後脱退してしまうのだが彼の話はその人間性に問うものが多いってことは、悲しいことかもしれない。
そんな逸話を聞きつつ彼の顔を見ていると妙に納得してしまうのが余計に可哀想なんだが、大抵のファンは"半漁人のようだ"と形容することが多いのだけど、このアルバムジャケについて言えばなかなか格好良く映っているのではないだろうか。
(プロモや左のような顔は「やっぱりヴィニーだな」という感じでしょうか・・・<どんな感じだよ)
しかしヴィニーのテクニックや作曲能力などは広く支持されているようだし、単に「半魚人」と片付けられないメンバーなのかもしれない。
こういう事に・・・

日本では・・・・
Dummy Jacket
GENEの不安と同じようにそれまで隠し通してきた「仮面」を取って真っ向から勝負!!とはレコード会社も考えられなかったようだ。
日本の伝統ある「レコード帯」をジャケ大まで拡大して、通常の帯サイズに印刷で帯状のデザインを配して、ジャケを隠しメイク期のライヴシーンをフロントに持ってくるという手法(荒業)を持ってきた。
芸能雑誌の吊広告のような見出しが余計に寂しい気持ちにさせてくれるが、先に輸入盤で見てしまった自分としては逆に違和感と日本のレコード会社の対応がKISSの衰退を表しているようでニューアルバムを買って帰るという喜びよりも意気消沈という雰囲気になってしまったのである。
ワタシ個人としてはアルバムを買う行為はこの"LICK IT UP"で止まってしまうのだ。
その要因の一つにこの隠しジャケ(帯)があるのは間違いないのである。

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