Ibanez PS10LTD Repair
Ibanez PS10LTD REPAIRWORKS

ゴールドパーツの再メッキ


ブリッジとテールピース部
1999年9月に長年の夢だったPS10を手にして大満足で、スタジオに持ち込んではリフを刻んで楽しんでいました。
以前、一度テールピース部だけ友人に軽くリペアしてもらった事があったんですが、Punisher-2を購入した後あれこれ弄りたくなって、その余波はこのPS10LTDにも及んだのです。
で、何をしたいかというと、左の写真を見てもらえれば判ると思いますが、ゴールドの金属パーツのメッキリペアです。

すっかり自宅作業でそういうツールで補修が出来る事を忘れていて、まぁ以前はそうしたツールにお金を投入する事が出来ずにいたんですが、今は余裕があるので、色々考えた後に「めっき工房」を購入する事にして作業を具体化していきます。
それでも、どこまで出来るのか自信は無く・・・。
まずはこのブリッジとテールピースの金メッキが剥げてクロームのくすんだような色になっているものが無くなればいいんですが・・・。


ピックアップ
メッキを修復したいパーツは実のところ多岐に渡ります。
右はXXXXのマウントですが、やはり擦れてしまう部分から剥げてしまい、くすんだ状態です。
もうネジ留めしている周辺しか金メッキも残っていない事が判ります。

ただ、この辺りのパーツの修復は問題無いのですが、問題はペグ周りです。
正直、パーツの交換で済ませられるならば済ませてしまいたい箇所ではあるのですが、そうそう見つからず。
今あるパーツを生き返らせるしかありません。

かなりこの部分のリペアに関しては腰が引けていますが、今回トライする事にしました。(作業していくうちに必然的にそうなったんですけど)

問題のマシンヘッド部分
そんなペグをヘッド表から見た写真です。
弦巻部分はトップからもう擦れてしまってくすんでいます。
唯一金メッキが残っているように見えるのは、座金くらいでしょうか・・・
でも、この辺りならリペア出来そうな気はしていますが、問題は後ろなんだよなぁ。

ペグもよく見ると中がくすんだ感じになっているんですが、これは後に分解して判りましたが、オイルの滲みのようでした。
綺麗にふき取ってあげたら良くなったのでホッとしました。


さて、問題のペグの後ろ部分です。
丸いブランド名が入っているプレートは綺麗なゴールドなんですが、その他は擦れている部分はすべてくすんでいます。
ペグの軸部分はクロームじゃね?ってくらい、金メッキは落ちてしまっています。
さて、中のギア部分に影響を与えないように、どういう風にメッキを加えればいいのか思案のしどころです。

まぁ結局は電極を当てる所を移動しながら、全面を処理するというだけだったんですが・・・・。
では、パーツ毎に処理の流れを載せていきましょう。

ブリッジ
一番復活して欲しいパーツがこれです。
ワイドトラベル・ジブラルタル・ブリッジでもうオリジナルを手に入れるのは困難だと思います。
PS10の姉妹品?のPS10IIやアニバーサリーモデルで気に入らないのは、このブリッジじゃないからなんですが、前者はさらにテールピースもレスポールと同じものだったり、後者もMIRAGEで使っていたようなエッジの無い格好をしていたので。。。
この辺りはPS10のスタイルを語るには譲れないパーツなので、この形状は大事に保たなければならないよなぁと一人思っている次第です。
左の捨身はブリッジからコマを外す為に、ネジを外して弦毎に印を付けた所です。
コマの溝が弦毎に微妙に異なるので、使用していたネジもセットで元通りする為の処置です。

Before
まずは構成しているパーツを全て外したブリッジの下地処理を行います。
コマが納まる部分はザラザラで磨き込めないので、ここはあえて処理しません。
(実は綺麗にメッキが残っているので、わざわざ侵すこともない・・・といいながら、コマを支えていた溝には劣化が見られ、どこまで処置すればいいのか思案のしどころでした)
まだ金メッキが残っているようにも見えますが、結構クロームっぽいところまで磨き込みまして、メッキを行う前段処理が出来ています。


金メッキをする前処理として、ニッケルメッキをした所です。
よく見えない写真ですが、かなり綺麗な光具合になっています。
前段の下地処理のところでも書いている通り、コマが入るスペースは敢えてメッキをしていません。
もうちょっと深い部分まではニッケルメッキをしたように思いますが、全てニッケルメッキで隠れるほどの前処理を施してはいません。
ここでうまくメッキが乗ると、金メッキもうまくいく予感がします。

いよいよ金メッキを載せていきます。
ここで注意しなくてはならないのは、メッキ液をケチらないこと、です。
たっぷり含ませても、金メッキとして反応するものが定着しきってしまうと、フエルトのペン先がひたひたに濡れていても、金メッキは出来ません。
多分、金の無くなった水溶液の残り、水だけです。


実際この事をうすうす気が付いたのは、この工程でした。
なもんで、たっぷりと乗りが悪くなった時にはフエルトの先の水っ気を吸い取った上、メッキ液を補充して作業を進めると面白いように金メッキされている範囲が広がっていきます。
右の写真を見て判るとおり、かなり濃い感じのゴールドパーツの復活になっています。
正直な話、向かって右になるプレイする際に右手が乗ったりする部分は、メッキの乗りが悪い感じがします。
特にエッジあたり。
この辺りはさすがにやり直しする気が無かったので、また薄くなってきたら考える事にします。
そうです、メッキはいつか薄くなってしまうものと諦めているので、今後もメンテナンスは続けないといけないんです。


えーと、これはペグのメッキ具合です。
この写真だと、まだまだ金メッキが載っているようにも見えますが、かなり薄くクロームっぽく透けてしまっているような印象です。
最初は表面の軸部分だけしっかりメッキ加工しようと思ったんですが、ここまでやったんだからと本格的にやる事にしました。
この先の処理中の写真が無いのですが、ペグはネジを外してメッキ部分にして、極力中にメッキ液が入らないように注意しながら、金メッキを施していきます。


さて、テールピースです。
最初の写真と比べたら、かなり濃くなっていると感じます。
写真だとちょっと加工が粗く見えてしまっていますが、なんでそう見える写真なのだか疑問な程、実際はとても綺麗に仕上がっています。
弦が止まるホール部分も根気良くメッキ液を行き渡らせて、綺麗にメッキが乗りました。


で、ちょっと写真を撮るのが面倒になっていたので、仕上げた後のパーツを纏めて並べて写真を撮りました。
ペグは当然ワッシャーからネジ部分に至るまで処理をしています。
この他にブリッジの下のマウント部分やそのネジ、ボルト、弦を乗せるコマ、ピックガードのネジ、トグルスイッチのネジ(トグルスイッチ自体はクロームのままです)、トラスロッドカバーのネジも一緒に処理をしました。
なもんで、かなりの時間を掛けています。


Bridge & Tailpiece [Top:Before/Bottom:After]

Head & Tuners [Top:Before/Bottom:After]

一番Before/Afterの具合が判りやすい、ブリッジとテールピース、ヘッド部分のペグ周辺部分を上下に並べてみます。

いや〜、かなり感動的な輝き具合というか、復活ぶりです。
こんなに違うんですが、元の写真が酷すぎるんですけどね・・・・。





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